要旨:
- 大いに憂国の思いを深めている。文化の最後の砦であるはずの医者が、諸般の事情から完全に無教養層に転落しつつあるのだ。
- 昔は、森鷗外、木下杢太郞、斎藤茂吉、安部公房、北杜夫といった例を挙げるまでもなく、文学史に名を連ねる作家の多くは医学部出身者だった。美術でも、趣味道楽の世界でも、医業を家業とする家族で支えられてきた。
- 理由は単純。昔の医者にはインテリジェンスに加え、金とヒマという財産があったから。
- 今はどうか。まず無いのがヒマ。厚生労働省のおかげ。ヒマがなければ本も読めないし、音楽も聴けない。
- インテリジェンスはどうか。委員の待合室においてある雑誌をみると、昔とくらべ著しい質の劣化が認められる。総合雑誌は今はなく、金満家雑誌のみ。これは医者は儲かるという神話のおかげで医学部の偏差値が上がりすぎたため、高校時代に勉強しすぎてダルボーイになった連中しか医学部に受からなくなったからだ。
- カネはどうか。今回の恐慌で、健康保険が払えない無保険貧困層の拡大は必至だから、医者も儲からなくなるだろう。
- かくて、医者は三無的な存在に墜ち、「文化の最後の砦」も陥落し、日本は非文化国家へと転落してゆく。
今のニッポンでカネとヒマがあるのは、農村住民と専業主婦だけだろう。彼らが「ニッポン文化」の担い手になって行くのをみているのは確かに辛い。エコブームと地産地消(食育)運動はこうして起こった。今流文化にはインテリジェンスなんかは関係ないのである。
早く死にたい。
7 件のコメント:
お久しぶりです。
負けるな!
長生きしろ!
意地悪じいさんへ。
ところで「文化」とはなんぞや。
知的な作業小説絵画で大衆を啓蒙し、楽しませることか。TVで笑わせることか。
啓蒙された大衆は知的心の安らぎを得る。
または、作業者の自己満足からの幸福感か。
「文化」がない世界の人々は不幸なのでしょうか。
たとえば、TV新聞が無い旅が一番安らぐ。
いまや、所謂「文化」先進国の文化人が一番みじめなような気がしますが。
「文化」とはなんぞや。
ま、鹿島茂はレヴィ=ストロース以前の時代に住んでいる人だから「善良な野蛮人」の文化は認めないのでしょう。
「憂国の士」は長生きできませんな。「我がことにあらず」と達観するべきなのですね。
農業は、百姓の歴史と血をもっている人がやりつづけている限りよくなりようもない。このところ、ギャルが農業を始めるとか、ネットで怪しい人だったらしい人が農業を始めるといって、ネットの痕跡を全部消すとか、こういった新しい血が農業に入っていけば変革は起きると思います。ただ、現実は大変です。脱落しないで、なんとか、国内で移民したつもりで、それと教わることは教わるで大切だけど、歪んだ百姓精神を中和することも希望したいです。
日本で、時間も金もなくてもできる、世界で誇れる文化があります。俳句、川柳です。医者にはぜひやってもらいたい。ただ、医療関係者も川柳をつくるそうですが、オエライさんに直接聞いたことがあって、公開できるような作品ではないほど下劣らしいです。なので、医者は俳句を。そして、散人さんは、もとサラリーマンということで、ぜひ、川柳は、いかが? 皮肉たっぷりに。
農村からも宮沢賢治なんかが輩出されていますから、出自はどうであれ、高等遊民に期待いたしましょうよ。
>宮沢賢治
ああいう大地主(賢治のお父さんなど)は戦後の農地解放でなくなってしまいましたね。第二の宮沢賢治を生むためにも農地の大規模化・機械化は喫緊の課題。
(現在は小規模農家でありながら高等遊民を志向するから話が経済的に成り立たなくなっている)
最後の「早く死にたい」、とても共感しました。この分じゃ日本の未来は暗いなんてもんじゃないですよね。
祖国がかくも墮落していく姿を見るのは忍び難きことです。
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